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真田昌幸って知ってる? 真田幸村の親父。

あの人、旗印に六文銭を使ってたんだよね。六文銭って三途の川の渡し賃のことで、つまり「もう死ぬ覚悟だ」っていう意味。普通に考えたら縁起悪すぎるでしょ。でも昌幸はあえてそれを選んだ。理由は単純で、「どうせ弱小だし、覚悟を見せないと誰もついてこない」って判断だったらしい。ブランディングの天才だと思う。弱いなりの戦い方を、ちゃんと分かってた。

僕が独立して三年目の秋、取引先を二社同時に失ったことがある。売上の六割が吹っ飛んで、マジで終わったと思った。そのとき何をしたかっていうと、逆にホームページを全面リニューアルして、値段を三割上げた。狂ってたと思う。でも昌幸の話を思い出してたんだよね。安売りで生き残ろうとするより、「この値段でもやりたい人だけ来てくれ」って覚悟を見せた方が、結果的に信用されるんじゃないかって。

実際どうなったかっていうと、半年後には以前より良い客が増えた。値段で選ぶ人は減ったけど、「この人に頼みたい」って言ってくれる人が来るようになった。

昌幸の凄いところは、上杉にも北条にも徳川にも豊臣にも、そのときどきで味方を変えまくったこと。裏切り者って言われがちだけど、あれは生存戦略なんだよね。信濃の小さな領地を守るために、大きいところと正面からぶつかるんじゃなくて、常に「どこと組めば生き残れるか」を冷静に計算してた。義理とか忠義とかより、まず生き残ること。それができないと、家臣も領民も守れないから。

僕らみたいな中小でやってる人間にとって、これってめちゃくちゃ参考になると思う。大手と同じ土俵で戦おうとしても勝てるわけがない。昌幸は上田城に二回も徳川軍を引きずり込んで、少ない兵力で撃退してる。地の利を使って、相手が苦手な戦い方に持ち込んだ。要するにホームで戦ったわけ。僕らも同じで、自分が一番強い場所、得意な条件で勝負すればいい。相手の得意なフィールドに行く必要なんてない。

そういえば昔、取引先の人に「もっと大きい案件も取れるようにならないと」って言われたことがあって。そのときは「そうですよね」って答えたけど、今思うと別に大きくならなくてもいいんだよね。昌幸だって最後まで小大名だったし。規模を追うんじゃなくて、自分のサイズで最強になればいい。

昌幸は関ヶ原のとき、次男の信繁(幸村)と一緒に西軍について、長男の信之は東軍に残した。どっちが勝っても真田家が残るようにしたわけ。これもよく「冷酷だ」って言われるけど、経営者としては当たり前の判断だと思う。リスクヘッジ。全部を一つに賭けるのは博打であって戦略じゃない。

僕も今、メインの事業とは別に小さいプロジェクトを三つ動かしてる。どれも月の売上は十万円いかないくらいだけど、これが保険になってる。メインがコケても、種は残る。昌幸のやり方を真似してるつもり。

上田城の戦いで昌幸がやったのは、正面から戦わないこと。徳川の大軍を城下まで引き込んで、狭い場所で混乱させて、後ろから突く。フェアじゃないって? 戦争にフェアもクソもないでしょ。ビジネスも同じ。ルールの中でなら、どんな手を使ってもいい。むしろ弱い方が汚い手を使わないと生き残れない。

昌幸の戦略を見てると、「選択肢を常に複数持つ」っていうのが基本にあるのが分かる。一つの道に賭けない。逃げ道を作っておく。裏切ると決めたらすぐ動く。そのスピード感と決断力が、あの時代を生き抜く力になってた。優柔不断が一番ダメ。決めたら動く。ダメなら次。それだけ。

結局、昌幸は関ヶ原の後に紀州の九度山に流されて、そこで死ぬんだけど。負けたっちゃ負けたわけだけど、真田の名前は残ったし、息子の幸村は大坂の陣で伝説になった。種を残すっていう意味では、成功してると思う。

僕らも同じで、今すぐ大きな成果が出なくても、種を撒いておけばいつか芽が出る。昌幸みたいに、しぶとく、ずる賢く、でも覚悟を持って。それが小さい組織の戦い方なんだと思う。

来週は誰の話をしようかな。