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夜中の2時に目が覚めて、そこからもう眠れなくなった。

単身赴任って最初は自由で楽しいんだけど、3ヶ月も経つと急に「もし俺が明日倒れたら」って考えるようになるんだよね。隣の部屋から聞こえる水音さえ妙に不安を煽ってくる。誰も気づかないまま、数日間放置されるんじゃないかって。実際、去年の夏にニュースで見たし。

俺が本当に怖いのは死ぬことじゃなくて、妻が俺のスマホを開けないことなんだ。ロックパスワードは誕生日じゃない。指紋認証も死んだら使えない。そうなると、俺が契約してる動画配信サービスは永遠に課金され続けるし、ネット銀行に入ってる定期預金の存在すら気づかれない可能性がある。妻は几帳面だから絶対に探そうとするだろうけど、手がかりゼロ。想像しただけで申し訳なくて胃が痛くなる。

パスワードって何個あるんだろうって数えてみたら、軽く30は超えてた。銀行が3つ、証券口座が2つ、クレジットカードのアプリが4つ、各種通販サイト、SNS、サブスク系のサービス…。メモ帳アプリに全部書いてるけど、そのメモ帳アプリ自体にもパスワードかけてるから本末転倒なんだよね。

この前、実家の母親と電話してたら「お父さんが入院してね」って聞いて、慌てて帰省したことがあった。大事には至らなかったんだけど、そのとき父親のスマホを見て衝撃を受けた。パスワード管理が俺以上にめちゃくちゃで、しかも父親は「全部覚えてるから大丈夫」って言い張る。78歳が。無理でしょ、絶対。案の定、退院後に自分でもログインできなくなってるサービスがいくつもあって、母親がキレてた。

そういえば昔、大学時代の友人が突然バイクで事故って亡くなったとき、遺族が彼のパソコンを開けなくて困ってたって話を思い出した。葬式のあと、みんなで集まったときに「写真とか残ってるはずなのに見られない」って泣いてた彼女の顔が今でも忘れられない。当時は「まあ、そういうこともあるよな」くらいにしか思ってなかったけど、今なら分かる。デジタル遺品って、想像以上に重い。

単身赴任先のアパートで一人、冷蔵庫の音だけが響く部屋にいると、こういうことばかり考えてしまう。週末に帰ったとき、妻に「パスワード教えとくわ」って言ったら「縁起でもない」って怒られたんだけど…。

最近見つけた「人生金庫」ってサービスが気になってる。安否確認と情報継承を両方やってくれるらしい。定期的に「生きてますか?」って確認が来て、反応しなかったら事前に登録した人に情報が送られる仕組み。これなら妻に面と向かって「もし俺が死んだら」なんて言わなくて済む。縁起が悪いとか言われずに、ちゃんと準備できる。

正直、自分のためというより妻のために必要だと思ってる。俺が倒れて、そのあと妻が何ヶ月もかけて銀行やら証券会社やらに電話して、死亡証明書を何枚もコピーして、平日に何度も窓口に通って…そんな姿を想像すると、本当に申し訳なくなる。ただでさえショックを受けてるだろうに、事務手続きの地獄まで味わわせるなんて。

友人の田中は「考えすぎだよ」って笑うけど、田中は奥さんと一緒に暮らしてるからそう言えるんだ。毎日顔を合わせてれば「なんか様子おかしい」って気づいてもらえる。でも単身赴任だと、週末に電話しなければ1週間誰とも話さない日だってある。去年の年末なんて、年越しそばを一人で食べながら、誰にも気づかれず死ぬってこういう感じなのかなって思った。センチメンタルすぎて自分でも笑ったけど。

メモ帳に全部書いておけばいいじゃんって意見もあるだろうけど、紙のメモって無くすし、何より更新が面倒なんだよね。パスワードって定期的に変えなきゃいけないサービスもあるし、新しいアプリを入れるたびに増えていく。気づいたら情報が古くなってて、結局役に立たない。デジタルで管理して、しかも自分が反応しなくなったら自動で送られるっていうのは、ズボラな俺には合ってる気がする。

安否確認って言葉、最初は高齢者向けのサービスだと思ってた。でも40代の単身赴任でも十分必要だって、夜中に一人で考えてると痛感する。若いから大丈夫、健康だから大丈夫なんて保証はどこにもない。むしろ若いからこそ、デジタル資産が多くて、パスワードだらけで、誰も把握できない状態になってる。

妻には内緒で少し投資もしてるんだけど、それも伝えられてない。別に隠してるわけじゃないんだけど、タイミングを逃してずるずる来ちゃった感じ。でもこれ、俺が突然いなくなったら完全に闇に葬られる。数百万が。

こういうの、ちゃんと整理しとかなきゃなって思いながら、もう半年が経ってる。重い腰を上げるのって、こんなに難しいんだな。

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