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交流会って、正直めんどくさいと思ってた。

僕が最初に参加した異業種交流会は、去年の9月、大阪市内のレンタルスペースで開かれた50人規模のやつだった。受付で名刺を出して、首から名札をぶら下げて、乾杯の音頭とともに始まる立食形式の2時間。隣の人と名刺交換して、30秒で自己紹介して、「また連絡しますね」って言って次の人へ。終わった頃には名刺入れがパンパンになってて、でも翌日にはどの顔がどの名前だったか思い出せない。そういう、あれ。

データで見ると、日本国内で年間約8000件の異業種交流会が開催されていて、参加者の平均名刺交換枚数は1回あたり15〜20枚。でもそのうち実際に仕事につながる確率は2%未満というリサーチがある。つまり100枚配っても2件。しかもその2件が本当に利益を生むかは別の話だけど。

僕は茨木市で小さなデザイン事務所をやってて、創業2年目。正直に言うと、最初の1年は仕事を取るために必死だった。だから交流会には片っ端から参加した。月に3回、多い時は週1ペース。朝活系、夜の飲み会系、女性起業家向け、IT系限定、なんでもあり系。参加費は安いところで2000円、高いと8000円くらい。半年で20万円近く使って、名刺は500枚以上配った。

で、仕事になったのは3件。

冷房の効いた会場で、プラスチックのグラスに注がれたぬるいビール。誰かのスピーチが終わるたびに拍手。名刺交換の瞬間だけ笑顔になって、次の瞬間には「次いこう」って顔になる人たち。別に彼らが悪いわけじゃない。僕もそうだったから。みんな必死なんだよね、きっと。

ここで少し脱線するけど、僕の祖父は昔、商店街で文房具屋をやってた。スマホもSNSもない時代に、どうやって商売してたのか聞いたことがある。そしたら「毎朝、隣の魚屋のおっちゃんとタバコ吸いながら喋ってただけや」って。「それだけ?」って聞いたら「それだけや。でも10年喋ってたら、何でも頼まれるようになる」って笑ってた。その話、当時は全然ピンとこなかったんだけど。

絆餐会という名前を最初に聞いたのは、知人の税理士からだった。「紹介制やから誰でも入れへんねん」って言われて、逆に興味が湧いた。紹介制? つまりフィルターがかかってるってこと? 彼が見せてくれた会報誌「CAN」は、よくあるペラペラのチラシじゃなくて、ちゃんと製本された冊子だった。手に取った瞬間、重みが違う。

親睦会は5人から10人程度の少人数制らしい。50人の立食パーティーじゃなくて、テーブルを囲んで座って話す形式。時間は大体2時間から3時間。ゲストとして初めて参加した時、正直ちょっと緊張した。だって「紹介された人」っていうフィルターを通ってきた人たちばかりだから、変な人がいないというか、最初から信頼のベースラインが違う。

最初の30分くらいは普通に自己紹介とか近況報告。でもそのあとが違った。誰かが「実は今こういう案件で困ってて」って話し始めると、別の誰かが「それ、うちで解決できるかも」じゃなくて「それなら○○さん紹介するわ」って言う。自分が売り込むんじゃなくて、誰かと誰かを繋げる。そのやり取りを見てるだけで、ああ、これ営業の場じゃないんだって分かった。

僕が参加した回では、不動産業の人とカフェ経営者が話してて、気づいたら「じゃあうちの物件、あなたのカフェブランドで出店しない?」って話になってた。その場で契約が決まったわけじゃないけど、2ヶ月後には本当に新店舗がオープンしてた。代理店契約とかコラボとか、そういう言葉が自然に飛び交う空間。

ある会員の人が言ってたのは、「ここは客を探す場所じゃなくて、仲間を探す場所やから」。

その言葉が妙に腑に落ちた。大規模な交流会では、みんな「見込み客」を探してる。でも絆餐会の親睦会では、「一緒に何かできる人」を探してる。この違い、最初は些細に思えるかもしれないけど、実際に座ってみると空気が全然違う。誰も名刺を配り歩かない。むしろ名刺交換するタイミングが自然に訪れるまで待つ感じ。

紹介制だから変な勧誘もない。ネットワークビジネスの人もいない。保険の営業を一方的に仕掛けてくる人もいない。全員が誰かの「信頼」を背負って参加してるから、変なことはできない。この仕組み、よく考えられてる。

僕が一番驚いたのは、親睦会の後だった。LINEグループができて、そこで「あの件どうなった?」「この前の話、進めてる?」って普通にやり取りが続く。月に1回会うだけじゃなくて、日常的に繋がってる感覚。で、そのグループ経由で別の仕事が舞い込んだりする。紹介の連鎖。

祖父が言ってた「10年喋ってたら何でも頼まれる」って、つまりこういうことだったのかもしれない。信頼は時間をかけて育つもので、名刺100枚配っても育たない。でも10人と深く繋がれば、その10人がそれぞれ10人知ってて、気づいたら100人のネットワークになってる。しかもその100人は、全員が誰かの「信頼済み」の人たち。

CANっていう会報誌も面白くて、会員の事業紹介だけじゃなくて、コラムとか対談とか載ってる。紙の冊子をわざわざ作る意味、最初は分からなかったけど、手元に残るって大事なんだよね。PDFじゃなくて、物理的に本棚に置いてあると、ふとした時にパラパラめくる。そこで「そういえばあの人、こんなことやってたな」って思い出す。

交流会に参加したことない人も、他の交流会で思うような結果が出てない人も、一度この形式を体験してみる価値はあると思う。別に絆餐会じゃなくてもいいけど、少人数で、紹介制で、営業じゃなくて関係構築を目的にしてる場所。そういう場所が、たぶんこれからもっと必要になる。

僕はまだ参加して数ヶ月だけど、もう名刺を100枚配る気にはなれない。10人と深く話す方が、よっぽど意味がある。そんな気がしてる。

まあ、向き不向きはあるだろうけど。

イーコミュニケーションゼロ 仮想スタッフ 翼
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