ALT

真田昌幸って知ってる? 真田幸村の親父さん。

この人、徳川の大軍を二度も撃退した猛者なんだけど、実は「負け戦」の天才でもあった。矛盾してるように聞こえるかもしれないけど、これが経営にめちゃくちゃ効く。私自身、昨年の夏に取引先を三社失って途方に暮れてた時、この人の戦い方を知って考え方が変わったから。

昌幸がやったのは「局地戦で勝って、全体では負けを認める」という戦略。上田合戦で徳川秀忠の大軍を散々に打ち負かしておきながら、最終的には豊臣側が負けると見るや、さっさと徳川に降伏してる。プライドとか面子とか、そういうのを全部捨てて。

普通さ、一度でも勝ったら「次も勝てる」って思いたくなるじゃん。うちも三年前に大口の案件を取れた時、社員五人で祝杯あげて、翌月から同じやり方で営業かけまくった。結果? 半年間、成約ゼロ。あの時の酒代、今思えば無駄だったな…

昌幸が凄いのは、勝ち負けを「戦術」と「戦略」で完全に分けて考えてたところ。目の前の徳川軍には全力で勝つ。でも天下の大勢が決まったら、迷わず頭を下げる。これ、中小企業の生存戦略そのものだと思わない?

私たちって、どうしても「一貫性」を求められる。「ブレない経営」とか「理念を貫く」とか。それ自体は悪くないけど、時代が変わってるのに同じことやり続けるのは、関ヶ原で西軍に味方し続けるようなもんでしょ。昌幸は違った。武田が滅びたら北条につき、北条が危うくなったら上杉と組み、最後は徳川に降る。その都度、真田家という「会社」を存続させるために最適解を選んでた。

去年の夏、私も決断した。十年続けてきた主力商品のラインを畳んで、まったく新しい分野に舵を切った。社員からは「今までの努力が無駄になる」って反対された。取引先には「方針転換」って言葉を濁したけど、要するに撤退。あの時、昌幸の顔が浮かんだんだよね。「勝てない戦場からは逃げろ」って。

面白いのが、昌幸は「負けた後」の動き方も計算してたこと。関ヶ原の後、徳川に降伏した時も、ちゃんと「上田城を明け渡す」っていう土産を持っていった。ただ謝るんじゃなくて、相手が欲しがるものを差し出す。これ、取引先との関係修復でも使える。

実際、私も撤退した事業の顧客リストを、同業他社に無償で譲渡した。「裏切り者」って言われるかと思ったら、逆に「誠実な対応」って評価された。半年後、その会社から別の案件で声がかかったし。

昌幸のもう一つの戦略が「小が大に勝つ仕組み作り」。上田城の構造がそれ。狭い道に敵を誘い込んで、少数で大軍を翻弄する。正面からぶつかったら絶対負けるから、戦う場所を自分で選ぶ。

中小企業も同じ。大手と同じ土俵で戦ったら資本力で潰される。だから「ここだけは負けない」っていうニッチを作る。うちで言えば、納期三日以内の小ロット対応。大手にはできない、やりたがらない領域。利益率は低いけど、確実に仕事が回ってくる。

そういえば、昌幸の次男が真田幸村なわけだけど、この親子、最後は敵味方に分かれて戦ってる。長男の信之は徳川側、次男の幸村は豊臣側。これも昌幸の戦略で、どっちが勝っても真田家は残るようにした。リスクヘッジの極み。

私も最近、本業とは別に小さな事業を始めた。今の仕事が傾いた時の保険。社員には「趣味の延長」って言ってるけど、本音を言えば昌幸の真似。

戦国武将の話って、つい「忠義」とか「武勇」とかに注目しがちだけど、昌幸みたいに「したたかに生き延びる」タイプの方が、経営者としては参考になる。カッコ悪くても、泥臭くても、会社を潰さないことが最優先。

来週はまた別の武将を取り上げようと思ってる。多分、もっとマイナーな人。でも、その人の選択が、あなたの来月の経営判断のヒントになるかもしれない。

…まあ、そんな大層なもんでもないけど。