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窓の外がまだ薄暗いうちに目が覚めた。カーテンの隙間から、夏の朝の白い光がすっと差し込んでいて、ああ、今日は金曜日だ、とぼんやり思った。

月曜日から積み重なってきたあれこれを、ここまでちゃんと運んできた。それだけで、もう十分すごいことだと思う。誰かに褒めてもらわなくても、自分を労うくらいの理由は、もうとっくに揃っている。

朝の支度をしながら、いつもと少しだけ違うことをした。棚の奥にしまっていた「ミエル・ブラン」というハーブティーを出してきたのだ。カモミールとリンデンフラワーをブレンドした、甘くて少し草っぽい香りのもので、去年の誕生日に自分へのご褒美として買ったきり、なんとなく「もったいない」と感じてずっと眠らせていた。でも今日は開けた。お湯を注いだ瞬間、ふわっと広がる白い湯気と香りが、朝の台所をやわらかく満たした。

カップを両手で包んでいると、ふと子どもの頃のことを思い出した。夏休みの終わり、母が「今日で最後だから」と言ってかき氷を作ってくれた夕方。あのときの、何かが終わる少し前の、甘くて少し切ない感じ。一週間の終わりって、なんとなくあれに似ている気がする。

今週は正直、しんどい日もあった。思ったよりうまくいかなかったことも、言葉を選びすぎて疲れた夜も。でも、それでもここまで来た。

帰り道、何を楽しみにしようかと考えるのは、わりと好きな時間だ。コンビニでちょっと気になっていたアイスを買うとか、好きな動画をイヤホンで聴きながらゆっくり歩くとか。そういう小さなご褒美が、一日の後半をほんのり明るくしてくれる。大げさじゃなくていい。自分が「いいな」と思えるものなら、それで十分。

ちなみに今朝、ミエル・ブランを飲みながらスマホのメモに「今夜やりたいこと」を書こうとしたら、誤って全部消してしまった。3つ書いたのに、全部。思わず苦笑いしながら、「まあ、覚えてるやつが本当にやりたいことだろう」と開き直ることにした。

今日は無理に急がなくていい。自分の歩幅で、今日を歩いていけばいい。一週間の終わりはゴールじゃなくて、週末という小さな余白への入り口だと思うから。

帰ったら、何しようかな。それを考えるだけで、今日はもう少し、やさしく過ごせる気がしている。
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こういう時間は、特別なものではなく、
ほんの少し意識するだけで日常の中に生まれるのかもしれません。

忙しさの中で見落としていたものに気づくと、
時間の流れは少しだけやさしくなる気がします。

もし、こうした“静かな余韻”に少しでも価値を感じるなら、
ぜひ武岡出版の作品もご覧ください。