
カーテンの隙間から、うすい光がするりと入ってくる。まだ完全には目が覚めていない月曜日の朝、スマホに手を伸ばしかけて、ふと止まる。通知の数を確認する前に、もう少しだけこの静けさの中にいてもいいかもしれない、と思う。
テーブルの上に置いたマグカップから、白い湯気がゆっくりと立ち上っている。今日選んだのは、雑貨屋で見つけた「ルナモルゲン」というブランドのカモミールブレンド。名前の意味も知らないまま買ったけれど、なんとなく月曜日に似合う気がして。一口飲むと、ほんのり甘くて、少しだけ土の香りがする。子どもの頃、祖母の家の縁側で麦茶を飲んでいたときの感覚に、どこか似ている。あの縁側は夏になると蚊取り線香の煙がたゆたっていて、時間がとろりと溶けていくような場所だった。
読みかけの本を手に取る。しおりを挟んだページを開いても、すぐに読み始めなくていい。ただ、紙の手触りを感じながら、そこにある余白を眺めていると、自分の頭の中にも少しずつ空白が生まれてくる気がする。
月曜日が重たく感じるのは、別に弱いからじゃないと思う。日曜日の夜から、すでに頭の中では仕事のことや人間関係のことをぐるぐると考えてしまっていて、朝が来る前からもうくたびれている。そういうことって、あるよね。
気持ちのリセットって、大げさなことじゃなくていいのかもしれない。窓を少しだけ開けて、朝の空気を胸に入れてみる。七月の朝はもうじっとりとした熱を帯びていて、それでも風が通ると、どこかほっとする。鳥の声が一声、遠くから届いた。
ちなみに今朝、カモミールティーを注いだとき、うっかりマグカップを持ち上げるのを忘れてティーポットを傾けてしまい、テーブルにほんの少しこぼした。拭きながら、「やっぱり月曜日だな」と心の中でそっとつぶやいた。でも、それくらいがちょうどいいのかもしれない。完璧じゃない朝の方が、なんだか正直で、すきだ。
静かな時間は、自分を奮い立たせるためにあるんじゃなくて、ただ存在を許してもらうためにあるのかもしれない。何かを成し遂げなくていい。今日は、ゆっくりコーヒーを飲んで、それだけで十分な朝があってもいい。
一週間の始まりに、あなたが感じている重さは、きっと本物だ。それを無理に押しのけなくていい。ただ、このマグカップの温度みたいに、手のひらにじんわりと伝わる小さなやさしさを、今日も一つだけ、どこかで見つけられたらいいな、と思っている。
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こういう時間は、特別なものではなく、
ほんの少し意識するだけで日常の中に生まれるのかもしれません。
忙しさの中で見落としていたものに気づくと、
時間の流れは少しだけやさしくなる気がします。
もし、こうした“静かな余韻”に少しでも価値を感じるなら、
ぜひ武岡出版の作品もご覧ください。






