武岡 隆
手のひらに宿る、一冊の体温
2026年4月12日 武岡 隆
夕暮れどきの書斎で、一冊の文庫本を手に取った。 窓の外では、十月の風が金木犀をかすかに揺らしていて、その甘い香りが薄く部屋の中まで流れ込んでいた。蛍光灯ではなく、スタンドの橙色の光だけを灯していたのは、なんとなく、そうし …
手のひらに収まる、小さな宇宙のこと
2026年4月9日 武岡 隆
文庫本というのは、不思議なものだ。あの薄くて小さな一冊が、ときに何時間もの時間を奪っていく。いや、奪うという言葉は正確じゃないかもしれない。むしろ、返してくれる、という感覚に近い。 先日、久しぶりに本棚の奥から一冊を引っ …











