武岡 隆
手のひらに収まる、もうひとつの自分へ
2026年4月8日 武岡 隆
夜が少し深くなってから、ふと本棚の前に立つことがある。別に何かを探しているわけではない。ただ、背表紙を眺めていると、どこか落ち着くのだ。 先日、引き出しの奥から一冊の文庫本が出てきた。奥付を見ると、もう二十年近く前に買っ …
君に贈れなかった言葉の代わりに、一冊の文庫本を
2026年4月7日 武岡 隆
妻が眠ってしまったのは、夜の十時を少し過ぎた頃だった。ソファの端に丸くなって、読みかけの小説を胸の上に乗せたまま、静かな寝息を立てている。ページが少し折れていた。そっと本を取り上げて、栞を挟んだ。それだけのことなのに、な …











