
目が覚めたとき、カーテンの隙間からうっすらと光が差し込んでいた。まだ6時台。蝉の声はなく、どこかで鳥が一声だけ鳴いて、また静かになった。月曜日の朝というのは、どうしてこんなに重さを持っているのだろう、と思いながら、わたしはしばらく布団の中でじっとしていた。
起き上がる気力がないわけじゃない。でも、すぐに動く必要もない気がして。
そのままぼんやり天井を見ていたら、ふと去年の夏を思い出した。小学生のころ、朝ごはんの前に縁側に座って、祖母が淹れてくれた麦茶をふたりで飲んでいた時間のこと。何も話さなくても、何も急かされなくても、それだけで十分だった。あの縁側の木の感触と、冷えたコップの結露が指先に伝わる感じが、なぜか今でも鮮明に残っている。
キッチンへ行って、お湯を沸かした。今朝は「ソレイユブレンド」という名前のハーブティーを選んだ。近所の小さな雑貨屋さんで見つけたもので、カモミールとレモングラスが混ざったような、甘くてやさしい香りがする。マグカップに注いだとき、湯気がふわっと顔にかかって、思わず目を閉じた。あ、これでいい、と思った瞬間だった。
読みかけの本を持ってきて、ソファに座る。ページを開いたはいいものの、しばらく同じ行を三回くらい読み返していた。頭に入ってこない。でもそれでも、本を閉じなかった。ただそこに座って、温かいカップを両手で包んでいるだけで、なんとなく気持ちのリセットが少しずつ始まっているような気がしていた。
静かな時間というのは、何かを達成するための時間じゃないのかもしれない。ただ、流れていくだけの時間。それが今の自分には必要で、それを許してあげることが、いちばん難しかったりする。
週の始まりに気持ちが重くなるのは、わたしだけじゃないと思う。日曜の夜から少しずつ胸のあたりが固くなって、月曜の朝にそれがピークになる感じ。そういうとき、何かを変えようとか、もっとうまくやろうとか、そういう方向に気持ちが向きがちだけど、本当はただ、余白が足りていないだけなのかもしれない。
朝日がカーテンを通して部屋の中に広がってきた。やわらかいオレンジ色が、床の上をゆっくり移動していく。その光の動きを目で追いながら、ハーブティーをひと口飲んだ。少し冷めていて、でもそれがちょうどよかった。
急がなくていい。全部うまくやらなくていい。月曜日の朝くらい、少し力を抜いてもいいのかもしれない。
この静けさの中に、今日を始めるためのものが、もうちゃんとある気がした。
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こういう時間は、特別なものではなく、
ほんの少し意識するだけで日常の中に生まれるのかもしれません。
忙しさの中で見落としていたものに気づくと、
時間の流れは少しだけやさしくなる気がします。
もし、こうした“静かな余韻”に少しでも価値を感じるなら、
ぜひ武岡出版の作品もご覧ください。






