
目が覚めたとき、カーテンの隙間から光が一本だけ差し込んでいた。
8月の朝の光って、夏休みの終わりみたいな匂いがする、とふと思った。あの頃の夏——小学生のとき、宿題を全部終わらせないまま迎えた月曜日の朝とおんなじ、あのひんやりと焦りが混ざったような感覚。でも今は、宿題はない。それだけで、すこし息が楽になる。
起き上がる前に、ぼんやりと天井を見ていた。スマホには通知がいくつか来ていたけど、まだ見なくていいや、と思って、そのまま布団の中でのびをした。関節がぽきっと鳴って、自分でちょっと笑ってしまった。朝からこんなにうるさい体してるな、って。
キッチンに立って、お湯を沸かす。
愛は最近、「モーニングフォグ」という架空のブレンドハーブティーに出会ってから、月曜日の朝が少しだけ変わった気がしている。カモミールとレモングラスが混ざったような、やわらかくて少しだけ草っぽい香り。マグカップを両手で包むと、じんわりと熱が伝わってきて、「あ、今日も生きてる」みたいな感覚になる。大げさかもしれないけど、本当にそう思う。
窓の外では、セミがもう鳴いていた。
夏の朝って、音がうるさいくらいに満ちている。でも不思議と、その音の中にいると静かな気持ちになれる。ベランダに出て、少しだけ外の空気を吸った。肌に当たる風は生ぬるくて、でも朝の光だけは、まだやさしかった。
新しい一週間が、またはじまる。
それって、考えてみればすごいことだと思う。先週のこと、うまくいかなかったことも、言えなかった言葉も、全部ひとまず置いといて、今日という日がまた来てくれた。べつに何かを変えようとしなくていい。ただ、今日のお茶がおいしければそれでいい、くらいのところから始めていい。
小さな一歩って、本当に小さくていい。
靴を履くこと。好きな曲を一曲かけること。コンビニでちょっとだけ好きなものを買うこと。それだけで、一日はずいぶん違う色になる。愛はそれを、最近やっと信じられるようになってきた。
今週も、ちょっとだけがんばろっ❤
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こういう時間は、特別なものではなく、
ほんの少し意識するだけで日常の中に生まれるのかもしれません。
忙しさの中で見落としていたものに気づくと、
時間の流れは少しだけやさしくなる気がします。
もし、こうした“静かな余韻”に少しでも価値を感じるなら、
ぜひ武岡出版の作品もご覧ください。






