
カーテンの隙間から、光が細くすべりこんでくる。9月の朝の光は、夏のそれとはすこし違う。あの刺すような強さじゃなくて、もう少しやわらかくて、どこかためらいがちで——なんだか、月曜日の自分にちょっと似ている気がした。
起き上がれたのは、アラームが鳴って15分後のことだった。スマホを手に取って、また画面を見て、また置いて。そういう時間も、まあいいか、と最近は思えるようになってきた。
キッチンに立って、ポットのスイッチを押す。コポコポという音が部屋に広がって、それだけで少しだけ目が覚める。今朝はお気に入りの「モーニングフォグ」というハーブティーを淹れた。近所の小さな輸入雑貨屋で見つけた、架空みたいな名前のお茶だけど、カモミールとレモングラスがふわっと混ざった香りは本物で、吸い込むたびに胸のあたりがすこうしだけほぐれていく。
マグカップを両手で包む。温度が、じんわりと手のひらに移ってくる。
子どもの頃、月曜日の朝が苦手だった。正確には、日曜日の夜から苦手だった。あの胃のあたりがきゅっとなる感じ、今でも完全には消えていない。でも最近気づいたのは、あの感覚は「嫌だ」というより「また始まるんだな」という、ある種の緊張感に近いのかもしれないということ。悪いものじゃないのかもしれない、たぶん。
ハーブティーを一口飲んで、窓の外を見る。
朝の光が、隣の家の白い壁にまっすぐ当たっている。どこかで鳥が鳴いている。自転車のチェーンの音がして、遠ざかっていく。そういう音たちが、重なって、また離れて、静かな月曜日の朝をつくっている。
新しい一週間って、始まってみるとそんなに怖くないことも多い。月曜日の朝だけが、なぜかいちばん重たく感じる。でも実際に動き出したら、気がついたら水曜日になっていて、気がついたら金曜日になっていて——そういうものだよな、とこの一年でちょっとずつ思えるようになってきた。
今日の小さな一歩は、ちゃんとハーブティーを淹れたこと、にしておこうと思う。それだけでもう、今日はわりとうまくやっている。
完璧な一週間じゃなくていい。全部こなせなくてもいい。自分の歩幅で、今週も少しだけ前に進めたら、それでじゅうぶんだと思う。
ちなみにさっき、マグカップをソファに持っていこうとして、テーブルの角に小指をぶつけた。声には出さなかったけど、心の中では盛大に叫んだ。——そんな月曜日の朝も、悪くない。
今週も、ちょっとだけがんばろっ❤
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こういう時間は、特別なものではなく、
ほんの少し意識するだけで日常の中に生まれるのかもしれません。
忙しさの中で見落としていたものに気づくと、
時間の流れは少しだけやさしくなる気がします。
もし、こうした“静かな余韻”に少しでも価値を感じるなら、
ぜひ武岡出版の作品もご覧ください。






