
今日は、金曜日。
窓の外はまだ少し薄暗くて、空気がひんやりと肌に触れる。9月の朝ってこういう感じだったっけ、と毎年思いながら、結局毎年ちょっと驚いてしまう。夏の名残と秋の入り口が混ざり合った、この季節だけの空気。
コーヒーメーカーがゆっくりと音を立て始めた。ポタポタという小さなリズムが部屋に響いて、なんとなくほっとする。まだ誰も起きていない時間帯に、自分だけのために立てるコーヒーの香りって、どうしてこんなに特別に感じるんだろう。今日は「ルヴァン・モーニングブレンド」という豆を使ってみた。近所の小さな焙煎所で見つけた、ちょっとだけ奮発した一袋。開けた瞬間、チョコレートみたいな香りがふわっと広がって、思わず顔がゆるんだ。
月曜日から今日まで、本当によくやってきたと思う。うまくいかないことも、なんとなくしんどかった日も、それでも毎日ちゃんと起きて、ちゃんと動いていた。それって、地味だけど、すごいことだと私は思っている。
一週間の終わりって、不思議な感触がある。達成感とも違う、安堵とも少し違う。なんというか、「あ、生き延びた」みたいな感覚に近い。大げさかな、でもそれくらいの気持ちで、今日の朝を迎えていいと思う。
金曜日には、一週間分の情報を処理し続けてきた脳が、パンパンになっているとも言われている。
だから今日は、何かを急いで片付けようとしなくていい。まず、自分を労う気持ちで、この朝をゆっくり始めてほしい。
私がひそかに楽しみにしているのは、帰宅後のこと。仕事が終わって家に帰ったら、まずお気に入りのマグカップにホットミルクを注ぐ。それだけで、なんだか体の力が抜けていく。先週うっかりそのマグカップを洗い忘れて、帰宅してから気づいて一人でガクッとしたのは内緒だけど(あのとき自分で自分にちょっと笑ってしまった)。小さなご褒美って、準備してこそ輝くんだなと、改めて思い知った出来事だった。
金曜の夜、一週間をなんとか乗り越えた自分へのご褒美として、決まったルーティンを持つようになった、という人も多い。
それが温かい飲み物でも、好きなお菓子でも、誰かに話しかけることでも、なんでもいい。「今日の自分が喜ぶこと」を、ちょっとだけ思い浮かべながら今日を過ごしてみてほしい。
子どもの頃、金曜日の夕方って独特のにおいがあった気がする。給食の名残と、外で遊んだ土の香りと、どこかの家から漂ってくる夕飯の煙。あの感覚に似た「もうすぐ解放される」という予感が、今でも金曜日には宿っている気がしてならない。
あと少し、自分の歩幅で進もう。
今日が終わったら、ちゃんとご褒美が待っている。それを楽しみに、今日も穏やかに、あなたらしく。
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こういう時間は、特別なものではなく、
ほんの少し意識するだけで日常の中に生まれるのかもしれません。
忙しさの中で見落としていたものに気づくと、
時間の流れは少しだけやさしくなる気がします。
もし、こうした“静かな余韻”に少しでも価値を感じるなら、
ぜひ武岡出版の作品もご覧ください。






