武岡 隆
胸ポケットに、物語をひとつ。
2026年4月6日 武岡 隆
朝の通勤電車は、いつも少しだけ騒がしい。ドアが閉まる音、アナウンスの声、誰かのイヤホンから漏れる低音。そのざわめきの中で、私はいつの間にか、手のひらサイズの文庫本を開く習慣がついていた。 スマートフォンを持っていないわけ …
手のひらに収まる、物語という体温
2026年4月5日 武岡 隆
夕暮れどきの台所で、湯を沸かしながらふと思い出すことがある。 小学三年生のころ、母が枕元に置いてくれた一冊の文庫本。表紙はくすんだ山吹色で、角がすこし折れていた。あの本の重さを、今でも右手が覚えている気がする。たった百数 …











