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木曜日の朝というのは、不思議な時間だと思う。

カーテンの隙間から差し込む光が、昨日よりほんの少しだけ斜めで、部屋の角にできる影の形がちがう。9月の終わりの朝はまだ蒸し暑さが残っていて、それでも空気の底のほうに、かすかな涼しさが混じりはじめている。そういう微妙な季節の変わり目の朝に、ぼくはいつもコーヒーを淹れながら、今週の自分のことを少し考える。

今日は「週の後半」の入り口だ。

月曜から水曜にかけて、やるべきことをこなしてきた。会議の資料、返信が遅れていたメール、後回しにしていた細かいタスク。完璧じゃなかったかもしれないけれど、それでも確かに前に進んできた。それだけで、もう十分じゃないかと思う。

ペース調整というのは、スピードを落とすことじゃない。

今の自分の歩幅を確認して、残りの道のりに合わせて整えることだ。週の後半に入るこのタイミングで、一度だけ立ち止まって予定を見直してみると、意外と「今日じゃなくてもいいもの」が混じっていることに気づく。そういう小さな見直しが、木曜・金曜の体と頭の余裕をつくる。

ちなみに少し前、ぼくは子どもの頃によく通っていた近所の文具屋のことを思い出した。店主のおじさんが、棚の整理をするとき、全部出してから並べ直すのではなく、「今日使うもの」だけを手の届く場所に置いていた。あの光景が、なぜかいまの自分の話と重なる。全部を同時に動かさなくていい。

今日、一つだけ決めてみるとしたら。

優先することを一つ選んで、それだけに集中する時間を午前中に確保する。架空の話のようだけど、ぼくが最近試しているのは「ソレイユ・ブロック」と勝手に名付けた30分の作業時間で、通知を切って、ただ一つのことだけをやる。それだけで、一日の密度がちがってくる。

コーヒーカップを両手で包むようにして持つと、陶器の温もりが指先に伝わってくる。香りは深くて、少し苦い。その感覚が、「ああ、今日もちゃんとはじまるな」という気持ちを静かに呼び起こしてくれる。今朝はうっかりコーヒーを淹れすぎて、カップから一滴こぼした。拭きながら、まあそんな朝もあるかと思った。

週の後半は、加速するためにあるんじゃない。

ここまで走ってきた自分を、少しだけ労って、残りを丁寧に歩くための時間だ。焦らなくていい。今日一日、必要なことから始めれば、それで十分に前へ進める。
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こういう時間は、特別なものではなく、
ほんの少し意識するだけで日常の中に生まれるのかもしれません。

忙しさの中で見落としていたものに気づくと、
時間の流れは少しだけやさしくなる気がします。

もし、こうした“静かな余韻”に少しでも価値を感じるなら、
ぜひ武岡出版の作品もご覧ください。