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武岡 隆のブログ

RYU TAKEOCA BLOG

武岡 隆のブログ

本、活字、日本語、物語、記憶、時間。
日々の中でふと立ち止まったことを、武岡 隆の言葉で静かに綴ります。

次のページを、指で先に確保する

紙の本では、いま開いているページを読み終える前に、指が次の一枚へかかっていることがある。目はまだ数行を残している。それなのに手は、ページの端を探し、次にめくる紙を先に確保している。

もちろん、これはページを滑らかにめくるための準備である。読み終わってから紙の端を探すより、先に指を入れておいた方が流れを切らずに済む。その説明だけで、動作としては十分なのだと思う。

それでも気になるのは、同じ読書の最中に、目と手が別の箇所を受け持っていることである。目が扱っているのは、いま読んでいる文だ。そこに書かれた順番に従い、一語ずつ先へ進む。

途中を飛ばさない限り、目は文章より先へは行けない。一方、指が触れているのは、まだ読んでいないページである。内容を知っているわけではない。

ただ、その内容が載っている紙だけは、すでに押さえている。指が先回りしているのは、物語でも論旨でもない。次の文章へ移るための条件である。

紙を一枚だけ分け、めくれる状態にしておく。先の内容には触れず、先へ進むための入口だけを手元へ引き寄せている。この準備は、ページをめくることとも違う。

指をかけた時点では、いまのページはまだ開かれている。残りの行も隠れない。次を確保しながら、現在のページを読み続けられるところに、この仕草の少し変わったところがある。

紙が薄ければ、指にかかったものが一枚かどうかを確かめる必要もある。二枚を一緒にめくれば、文章はつながらない。手は先へ急ぐだけではなく、次に進む単位まで確かめている。

目にとっての単位は文や段落だが、手にとっての単位は一枚の紙である。そして、指が準備を終えても、すぐにめくるとは限らない。最後の行を読み終えるまでは、その位置で待つ。

先に動いた手が、最後には目の到着を待つことになる。読む速さを決めているのは、準備の早い方ではない。画面で読む場合にも、次へ送るための指は使う。

ただ、紙のように次の一枚を現在のページから物理的に分けておくことはない。操作をするまでは、指先に次のページが引っかかっているわけではない。この違いは優劣ではなく、読んでいる途中の手がどこに置かれるかの違いだろう。

紙の本を読む時間は、視線だけを追うと一方向に進んでいるように見える。指先まで見ると、少し形が変わる。目は現在を読み、手はその続きをめくれるようにしている。

二つが同じ場所にそろうのは、ページが動く一瞬だけである。

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