RYU TAKEOCA BLOG
武岡 隆のブログ
本、活字、日本語、物語、記憶、時間。
日々の中でふと立ち止まったことを、武岡 隆の言葉で静かに綴ります。
文字のない束見本で、本の厚みを確かめる
予定する紙とページ数で作る束見本には、本文がまだ印刷されていない。数値で示せるはずの本の厚みを、なぜ一度、手に持てる形にするのか。開き具合や背幅まで含めて考えた。
続きを読む手紙の文面より先に、消印を読ませる
物語に出てくる手紙では、本文より先に消印を見せるだけで、日付や差出地と文面のずれが生まれる。消印を、説明ではなく読者の疑いをつくる材料として考えた。
続きを読む動作に添う、ひらがなの「ください」
「本を下さい」と「読んでください」では、同じ音の語が別の役割を担っている。漢字とひらがなの違いを、語の働きを見分ける手がかりとして考えた。
続きを読む暦の秋分は、一日の中の一瞬で決まる
カレンダーでは一日分の欄を占める「秋分の日」だが、秋分そのものは、太陽が天の赤道を北から南へ横切る一瞬を指す。幅のない天体上の出来事が、どう一日の名前になるのかを考えた。
続きを読む「父の椅子」と「窓辺の椅子」は同じ一脚
同じ椅子を、ある人物は「父の椅子」と呼び、別の人物は「窓辺の椅子」と呼ぶ。呼び方を揃えずに残すことで、説明文にはしにくい人物と物との距離が見えてくる。
続きを読む校正紙の余白に、直した理由を残す
校正紙に記された同じ削除の指示でも、重複を避けたいのか、文章の調子を整えたいのかで判断は異なる。修正内容のそばに短い理由を添え、著者・編集者・校正者が意図まで確かめられる余白につい…
続きを読む「銀杏の実」を包むのは果肉ではない
秋に落ちる銀杏は、小さな果実のように見える。ところが、匂いの強い橙色の部分は果肉ではなく、種子を覆う外種皮である。見た目がよく似たものを、植物のつくりは別の場所で分けている。
続きを読む結末まで読んで、題名に戻る
読む前には物語への入口だった題名が、結末のあとでは人物の選択や出来事を背負って見えてくる。同じ文字列が読書の前後で変わる、その仕組みを考えた。
続きを読む棚の見出しが区切る、知識の並び
図書館の書架は一続きに見えるが、棚の見出しには分類名と番号の範囲が記されている。その小さな表示が、どこから主題が変わるのかを示し、本の列を探せる場所へ変えている。
続きを読む鈴虫の音色をつくる、二枚の翅
雄の鈴虫は、左右の前翅をこすり合わせ、やすり状の部分で生じた振動を翅の膜へ伝えて鳴く。ひと続きに聞こえる秋の音色を、その小さな接点から見直した。
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