RYU TAKEOCA BLOG
武岡 隆のブログ
本、活字、日本語、物語、記憶、時間。
日々の中でふと立ち止まったことを、武岡 隆の言葉で静かに綴ります。
「一人」と「ひとり」のあいだ
「一人で待つ」と「ひとりで待つ」。人数はどちらも一人である。それなのに表記を替えると、文が最初に見せるものまで少し変わる。その違いを、同じ例文の中で考えた。
続きを読む本の帯は、いつまで本の一部なのか
表紙に重ねられ、題名や推薦文を伝えながら、読むときには外されることの多い帯。紙として付いている時間と、その言葉が本に働いている時間は、どうやら同じではない。
続きを読む秋分の日も、昼と夜はぴったり同じではない
秋分の日は昼と夜が同じ長さになると思われやすい。実際には、日の出と日の入りは太陽の上端で決まり、大気の屈折も加わるため、昼が夜をわずかに上回る。
続きを読む一度しか出ない人物に、名前をつける
一場面だけ登場する人物を「店員」と書くか、「森田」と書くか。固有名が再登場への予感を生むことから、命名によって人物へ渡される重みを考えた。
続きを読むAIが物語に置いた、頼んでいない窓
AIが物語の続きを補ったとき、そこに窓が加わることがある。窓を一つ採用すれば、光の向きも人物の視線も、部屋の中で立つ場所も変わる。生成された細部を残すとき、その一語と一緒に何を引き…
続きを読む図書館が閉まったあとの返却口
閉館すると建物は利用できなくなるが、借りた本は返却口へ戻せる。人が図書館を使える時間と、本を図書館へ返せる時間とを分けている、小さな入口について考えた。
続きを読む伸ばし棒は、縦書きで向きを変える
横書きでは横へ伸び、縦書きでは縦へ伸びる長音符。同じ形を守る文字とは異なり、読む方向に従って向きを変える記号が、何を伝えているのかを考えた。
続きを読む冷たくなくなった保冷剤の重さ
冷たさを失った保冷剤は、形も重さもほとんど変わらない。役目が終わったことを見た目では知らせず、触れた手にだけ伝える物について考えた。
続きを読む登場人物が言い直す一語
会話の途中で選び直された一語は、先に発した語を消してはくれない。整った台詞には現れにくい、人物の言い過ぎと聞かれ方について考えた。
続きを読む読み直す一行の、ひとつ前
気になった一行を確かめるとき、目はその行の先頭ではなく、ひとつ前まで戻る。文章の意味と、紙面に見える行の区切りとのずれを考えた。
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